RFP 提案書 評価基準について

システム開発

RFPとは?

RFPとはシステム開発等を依頼する場合にベンダーを選定するために、各ベンダーに提案を依頼するための書類です。RFPを出したのちに、提案依頼を受け、これを評価する必要があります。このページではRFP 提案書の評価を客観的に行うための、選定基準について記載させていただきます。

RFP 提案書 評価書の作成時期

評価書(点取り表)については、RFP提案をベンダーから受領するよりも前の段階で行います。提案受領後に評価基準を作成してしまうと、恣意的にどこかのベンダーの評価が高くなるような基準を設けてしまうためです。

RFP 提案書 評価基準一覧

評価基準については、プロジェクトによって一定変更が必要ですが、大まかにはQCDの観点で評価していくことが好ましいと考えます。

Q(Quality)

システム開発は人に依存する、そのため人の評価が品質面の評価では重要である。
項目としては以下を含めるとよい。

担当者のスキル

担当者のスキル/経験に応じて判断する。RFPにおいて、Must要件/Wants要件などを記載し、その要件への充足度を見て判断するのもよい。

体制

担当者の固定有無や、専任有無、バックアップ体制などを評価する。

契約条件の経験有無

システム開発においては、委任開発と準委任開発で毛色が少し異なってきます。そのため、開発担当者がどちらの経験があるのかを評価するとよい。

ドキュメント作成経験

ベンダーからの成果物としては”ドキュメント”が主な確認ポイントになります。(実際はプログラムであり、システムですが、それだとよくわからないので、ドキュメントがあるためです)そのため、特にベンダー側PMの設計書作成経験は重要です。

管理体制

ベンダー内部におけるエスカレーション体制や、情報フローが整備されていることが重要です。これがないと発注者側がマイクロマネジメントを行う必要がある場合があり大変です。何かあったときにベンダー内で検知してもらえる環境は大切です。

C(Cost)

外注時にお金は何より大事です、決裁にも影響しますので重要です。金額面でのポイントを記載します。

構築費用(初期費用)

今回システム開発にて想定する初期費用をもとに、高い・安いを判断します。
見積手法については以下記事も参考にしてみて下さい。

運用費用

システム開発後は当然運用をしていく必要があります。非IT企業においては運用もセットでベンダーさんにお願いすることが多いです。そのため保守運用時のプランや、単価を事前に確認しておくことは重要です。

その他費用

いざプロジェクトが始まると色々なお金が出ていく可能性があります。特に可能性が高いのが、交通費です。炎上時などにベンダーに来社してもらう、下手すると常駐してもらう可能性があります。その場合の諸費用をどのように負担するのか?金額等は明確か?を事前に確認しておきましょう。

費用明細の妥当性

上記費用全般において、費用の明細はあるか?妥当性はあるか?を確認します。項目がないのに「ポンっと、まるっと○○万円です!」というのは、上にも説明しにくいですよね?なぜその金額になるのかを示してもらえているのかを確認しましょう。

D(Delivery)

スケジュール・納期通りにプロジェクトを遂行してくれそうか?という観点で評価をします。仮に見込み工数・人員を超過した対応が必要な場合、ストレッチして対応してくれるか?なども判断のポイントです。

工数・人員想定

工数・人員の想定が適切か?超過した場合の対応をしてくれるか?で判断をします。金額が安い場合人員確保が十分ではない場合があるため特に確認が必要です。

契約単位

契約更改の単位に応じて判断します。工数増減の柔軟さを判断するポイントです。特に準委任契約時に考慮が必要です。1か月単位で工数を増減できるのか?3か月単位か?半年か?などを確認します。

管理方法

進捗管理・工数管理の方法について確認をします。ずさんな会社だと工数管理がされていなかったり、管理した情報を提示してくれなかったりします。この辺りの透明性は最終的な工期に大きく影響する可能性があるため、確認が必要です。

保守運用の柔軟性

開発した会社に引き続き保守運用を依頼したいものですが、会社によっては開発のみで保守はやってくれないケースもあります。また保守期にてナレッジトランスファーをうまくしないまま、人員を急にスイッチし問題が発生するケースもよくあります。そもそも保守運用はしてくれるのか?開発メンバーはどれくらいサポートできるのか?などの確認が必要です。

プロジェクト遂行力

担当者/チームの経験を確認します。類似案件を実施したことがあるか?過去同様のチームで開発をしたことがあるか?などを確認します。類似案件の実施有無は特に重要です。例えば車両関係や医療関係のシステムは独自の品質管理基準への準拠が求められるため、この経験の有無が見通しに大きく影響します。

品質にも影響しますが、デリバリーのほうが観点として近いのでこちらに記載しました。

提案説明

RFPに対し、きちんと回答をしてくれたか?を評価します。言ったことをやってくれない、言われてからしからやってくれない、というのはプロジェクト遂行上非常にストレスです。「システムのプロにお金払うんだから、言われてないこともある程度想定してやってよ、、、」と思うのが信条です。RFP提案書の段階でこれを判断しましょう。言ってないけど出してくれてよかった!という情報があれば加点対象とします。

その他

QCDいずれでもない項目で、確認したい内容は”その他”として記載します。特に会社情報などプロジェクト情報とは異なる観点で確認します。

会社規模・部門規模

会社規模や部門規模(人数)を評価します。人数が多いほど問題発生時の人員追加の期待や、より広いナレッジを持っていることが期待できるためです。

品質管理組織

全社横断の品質管理部門が存在するかどうかを評価します。品質管理部門がいる事で、担当者個人の力量に依らず、一定の成果品質が保証される可能性が高いためです。

各種認証取得状況

個人情報を取り扱う必要があるシステムの場合はプライバシーマークやISMSを取得しているかを確認し評価しましょう。その他システムの特性に応じ取得が推奨される認証基準を保有しているかを確認し、評価します。

実績(案件)

会社の案件実績を評価します。評価方法としては、以下2つの観点があります。

  • 類似案件の担当件数
  • 自社の案件の担当件数

類似案件が多ければ、要件定義時のサポートが期待できます。自社の案件に携わっていただいたことが多い場合は、契約や請求処理時の取り交わしのお作法などをすでに理解していただいている可能性があり、スムーズに進めることができるため、評価するのが良いでしょう。

実績(保守・運用)

自社の他システムの保守運用実績の有無を評価します。上記お作法の観点だけでなく、複数の案件をまとめて保守発注することでボリュームディスカウントを交渉できたり、保守期の案件間での工数融通なども期待できるためです。

まとめ

上記をまとめると以下の通りです。

  • Q(品質)
    1. 担当者のスキル
    2. 体制
    3. 契約条件の経験有無
    4. ドキュメント作成経験
    5. 管理体制
  • C(コスト)
    1. 構築費用(初期費用)
    2. 運用費用
    3. その他費用
    4. 費用明細の妥当性
  • D(デリバリー)
    1. 工数・人員想定
    2. 契約単位(柔軟さ)
    3. 管理方法
    4. 保守運用の柔軟性
    5. プロジェクト遂行力
    6. 提案説明
  • その他
    1. 会社規模・部門規模(人員数)
    2. 品質管理組織の有無
    3. 認証取得状況
    4. 実績(案件)
    5. 実績(保守・運用)

評価項目については、上記の項目を案件に合わせて変更して行うのが良いでしょう。
採点については、各社差が着くように4~5段階程度でつけると良いと思います。段階の基準も事前に決定しておくとよいです。(金額は想定通りなら3点、それより高ければ1-2点、低ければ4-5点など)

よい評価書を作れば、決裁も通しやすくなり、上司の覚えも明るくなるでしょう!よい評価書を作って、トラブルを未然に防ぎましょう!

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